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薬局の閉局手続き 完全ガイド
— 届出・期限・費用と、畳む前に確認すべき一つのこと

薬局未来総研 | 2026年10月 | 本ページは実務の全体像の整理です。様式・運用は自治体・厚生局で異なるため、必ず所管窓口で最終確認してください。

閉局(薬局の廃止)は、開局よりも手続きが多く、しかも期限付きの届出が重なります。このページでは届出の全体像、在庫と麻薬の処理、閉局後も残る義務、費用の現実までを一枚に整理します。最後に一つだけ、畳むと決める前に確認する価値のあることも書きました。

1. 届出の全体像(宛先と期限)

届出・手続き宛先期限の目安
薬局廃止届(薬機法)所管の保健所(都道府県知事等)廃止後30日以内
保険薬局の廃止地方厚生局(事務所)速やかに(様式は各厚生局)
麻薬小売業者の業務廃止届・免許証返納都道府県(薬務課)廃止後15日以内
所有麻薬の譲渡・廃棄の手続き同上届出の上、所定の手続きで譲渡/立会い廃棄
生活保護(指定医療機関)・労災等の各指定の廃止各所管(福祉事務所・労働局等)それぞれの定めによる
税務(異動届・廃業関係・消費税)税務署事由ごとに所定期限
従業員の社会保険・雇用保険の資格喪失年金事務所・ハローワーク退職日から数日以内の手続きが多い

2. 在庫医薬品・麻薬の処理

一般の医薬品在庫は、卸への返品(可否・条件は取引契約次第)、他薬局への譲渡(譲渡記録を残す)、廃棄の3択です。期限の近いものほど引き取り手がなく、廃棄費用に変わります。

麻薬は別格です。業務廃止の届出をした上で、所定の手続きにより他の麻薬小売業者等への譲渡、または立会いの下での廃棄が必要で、勝手に処分することはできません。向精神薬・毒薬劇薬も区分ごとの扱いが残ります。ここは閉局実務で最も事故が起きやすい箇所なので、薬務課と事前に段取りを確認してください。

3. 閉局しても消えない義務

調剤録・処方箋は3年間の保存義務が閉局後も続きます。レセプトの返戻・再請求、患者や保険者からの照会に応える窓口も一定期間必要です。保存場所・管理責任者・連絡先を決めてからでないと、閉局は「完了」しません。かかりつけ患者への引き継ぎ先の案内(掲示・文書)も、義務である以前に地域での信用の締めくくりです。

4. 費用の現実 — 閉局は「ゼロ円」では終わらない

項目内容
在庫処分返品不能分の廃棄・損失計上
原状回復賃借物件ならスケルトン戻しが基本。調剤台・什器の撤去費も
賃貸借の解約予告3〜6ヶ月前予告の契約が多い。予告期間分の賃料は発生し続ける
従業員解雇予告(30日前)または予告手当、退職金規程があれば退職金
設備リース残債の精算、分包機等の除却

規模にもよりますが、数百万円単位の持ち出しで「終わる」のが閉局です。

畳む前に、一つだけ確認してください — その薬局、営業権が付きませんか?

閉局は費用を払って終わります。売却は営業権(実務相場で実質利益の約3年分)を受け取って終わり、従業員の雇用も引き継げます。処方箋の供給源が生きているうちなら、小規模な一人薬局でも買い手が付く例は珍しくありません。逆に、門前の医院が閉院してからでは手遅れです。

損得の分かれ目と相場の決まり方は 「調剤薬局の売却 — 相場はいくらか、いつ売るべきか」 に整理しました。業界全体がなぜ今この局面なのかは、調査レポート 『調剤薬局の2028年問題』 をどうぞ。

よくある質問

Q. 閉局までの標準的なスケジュールは?
逆算で90日が目安です。D-90: 方針決定・賃貸借の解約予告・従業員への説明/D-60: 患者掲示・在庫圧縮開始・卸と返品条件の確認/D-30: 麻薬の譲渡段取り・各種届出の様式入手/D-0: 最終営業日/D+15: 麻薬業務廃止届/D+30: 薬局廃止届・保険薬局廃止、の順です。
Q. 閉局とM&A(売却)は並行して検討できますか?
できます。むしろ実務では「売却を打診し、3ヶ月で買い手が付かなければ閉局に切り替える」という二段構えが合理的です。閉局の準備(在庫圧縮・書類整理)は売却時のデューデリジェンス準備とほぼ重なるため、無駄になりません。
Q. 閉局を従業員や門前の医院にいつ伝えるべきですか?
賃貸借の解約予告と並ぶ最難問です。早すぎれば薬剤師が先に離職して最終日まで回らなくなり、遅すぎれば信頼を失います。売却の可能性を並行検討しているなら、なおさら伝える順序の設計が重要です(売却では雇用が守られるため、伝え方が全く変わります)。
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